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JAMCO オンライン国際シンポジウム

第26回 JAMCOオンライン国際シンポジウム

2017年12月~ 2018年6月

テレビのインターネットへの取組み―各国の事情と課題―

公共メディアの先駆者を目指すイギリス

田中孝宜
NHK放送文化研究所 メディア研究部 海外メディア研究グループ 副部長

1.はじめに

 イギリスは、公共放送BBCと複数の商業放送を持つ二元体制を取っているが、イギリスの放送メディアを主導しているのはBBCである。BBCは世界の公共放送事業者の中で先駆的にネットに取り組んできた。1997年に世界で最初に地上デジタル放送を開始したのがイギリスだが、BBCではデジタル時代の将来ビジョンを立案するなかで、インターネットをテレビ・ラジオに次ぐ“第三のメディア”と位置付けた。そして、1997年末に既存の10種類のホームページをBBC ONLINEに統一し、本格的なサービスへと転換させた。
 2007年12月のクリスマスにBBCは “見逃しサービス”のBBC iPlayerを開始した。BBCはこれに先行し2002年から、ラジオ番組についてインターネット経由のオンデマンドサービスを行っており、BBC iPlayerは、このサービスをテレビ番組に拡大したものといえる。翌2008年にテレビ放送の同時送信を始めた。BBC iPlayerのサービスは、放送と同時のサイマル・ストリーミングと放送後30日間の見逃しサービスの大きく2つで構成されており、さらにBBC iPlayer向けのコンテンツや外部の公的機関が制作したコンテンツなどの提供も始めている。
 BBCは世界の公共放送のモデルとされ、その動向は海外の放送界にも影響を与えるものとして世界的に注目される。本稿ではBBCを中心に記述し、商業放送などについては補足的に触れたい。


2.BBCのネットサービス~歴史的経緯

 BBCは、1922年に民間企業のBBC(British Broadcasting Company)として誕生した。その後、1927年に公共放送BBC(British Broadcasting Corporation)に改組され、特許状および政府と結ぶ協定書で運営される公共事業体であること、財源を受信許可料とすること、という運営上制度上の枠組みが決まった。つまり、BBCは国会で制定される放送法ではなく、時の政府が起草し、国王がBBCに供与する特許状と協定書に基づき運営されている。
 特許状更新はほぼ10年ごとに行われ、その際に、BBCの任務や業務範囲、企業統治のあり方などを議論し、時代に合うように修正していく。前述したように、BBCは1997年からオンラインサービスを行っている。当時の第7次特許状(有効期間1997年~2006年)の枠組みでは、オンラインサービスは、担当大臣の事前の承認を条件に提供することができる「付随サービス」とされた。そして第8次特許状(有効期間2007年~2016年)で、オンラインサービスは受信許可料で提供する公共サービスであり、テレビ、ラジオと並ぶBBCの本来業務と位置付けられた。さらに特許状・協定書にはBBCが将来新しいサービスを提供することがあると記し、テレビ、ラジオ、ネットに次ぐ、現在はまだ開発されていないサービスを行うことに含みを持たせている。このことは現行の第9次特許状(有効期間2017年~2027年)にも引き継がれている。

規制監督機関も放送・通信を融合
 イギリスでは1954年に現在の商業テレビの最大手ITV(免許上はChannel 3)が設立された。また82年に、非営利の法人が広告ベースで運営するChannel 4が、 97年に商業放送のChannel 5の放送が始まった。
 BBCは規制監督機能を内部に置いてきたが、商業テレビの規制はITC(Independent Television Commission)、商業ラジオの規制はRA(Radio Authority)が担ってきた。
 その後、放送と通信の融合時代を迎え2002年、ITC、RA、放送基準委員会BSC(Broadcast Standard Committee)に通信分野の規制機関であるOftel(Office of Telecommunications)と電波の周波数割り当てを担う電波通信局RCA(Radiocommunications Agency)の5つ組織をひとつにまとめて、独立規制機関Ofcom(Office of Communications:放送通信庁)が設立された。Ofcomはこれまで商業放送の規制監督を担ってきたが、2017年4月からBBCもOfcomの規制監督下に入った。BBCの規制監督機能が外部の機関に移るのは初めてである。


3.変わるテレビ視聴と放送局の対応

BBCのテレビサービスの現状
 1998年9月、BBCが世界で初めて地上デジタル放送を開始した。当初は多チャンネル有料放送を基本に地上デジタル放送の普及を図ったが、2002年10月30日から無料放送に転換し、プラットフォームFreeviewを開発した。
 アナログ放送は2008年から地域ごとに終了した。ロンドン・オリンピック開始前の2012年4月にロンドンでアナログ放送を終え、2012年10月24日に全土でデジタル放送へ移行した。
 BBCは、全国ネットワークのテレビとラジオサービスを行っている。デジタル放送への移行に伴い、テレビチャンネル数は2から9に増加したが、若者向けチャンネルのBBC Three は2016年2月にテレビ放送を廃止し、ネットのみでの提供となった。コスト削減が大きな目的だが、BBCでは放送の将来のあり方を探る実験的な取り組みをしたいとしている。BBCではラジオのデジタル化も進めており、デジタル化によりラジオのチャンネルも5から10に増えた。

BBCのテレビチャンネル
  • BBC ONE(総合編成)
  • BBC TWO(総合編成)
  • CBBC(子ども向け)
  • Cbeebies(就学前児童向け)
  • BBC FOUR(文化、芸術)
  • BBC NEWS(24時間ニュース)
  • BBC PARLIAMENT(議会中継専門)
  • BBC Alba(ゲール語専門)
※BBC THREEは2016年2月にネットのみでの提供となった。

 放送局別のシェアを見てもBBCがイギリスの放送界をリードしていることがわかる。そのことはネットサービスの開拓についてもいえ、BBCはイギリスの映像産業全体を底上げし、活性化することを期待されている。

放送局別テレビ視聴シェア(2016年度)
BBC
32.2%
ITV
21.5%
Channel 4
10.3%
Channel 5
6.3%
Sky
8.3%
(BARB調査)
3-1.放送局によるオンデマンドサービス

 Ofcom(2017)の調査報告によると、2016年のイギリス人のテレビ視聴時間は平均約3時間32分で、15年より4分減少した。24歳以下の世代の減少幅が最大で、視聴時間は2時間を割りこんだ。中でも16歳~24歳以下の世代の減少幅が大きく、ほぼ横ばいの高齢者との世代間ギャップが広がっている。さらに世代間での違いが大きいのがテレビの視聴方法である。全世帯では、今もライブ視聴が一番多く、高齢者ではその時間がやや増える傾向にあるが、若い人は、オンデマンド視聴に移行する流れが強まっており、テレビ視聴時間全体の約60%がオンデマンドやタイムシフト視聴になった。
 視聴方法の変化に伴い、放送局ではオンデマンドサービスの充実を図っている。イギリスでは、公共放送BBCとすべての地上商業テレビ事業者が、インターネットで番組コンテンツを提供しており、同時送信されているテレビ番組のライブ視聴と見逃した番組のオンデマンド視聴ができる。

BBC iPlayer
 BBCのネットサービスの中核になっているプラットフォームがBBC iPlayerである。2007年から受信許可料を財源にした無料のサービスとして提供している。BBC iPlayerで見逃し視聴できる期間は当初は放送後7日間だったが、2013年に30日間へと延長された。
 BBC iPlayerは、PC、ゲーム機、タブレット型PC、携帯端末、ケーブルテレビなど多様なプラットフォーム、受信機器で利用することができる。テレビ・ラジオ合わせて年間約36億件の利用がある。このうちテレビでは、見逃し視聴が85%でライブが15%、ラジオでは聞き逃した番組の時差視聴が35%でライブが65%となっている。BBCでは将来のiPlayerがすべてのBBCコンテンツにアクセスする“正面玄関”になるとしている。

商業放送のオンデマンドサービス
 商業放送局もオンデマンドサービスを展開している。ITVはITV Hubの名称で2007年にネットでのオンデマンドサービスを開始した。広告は、ライブの場合はテレビと同じで、オンデマンドの場合は差し替えるようにしているという。また、月額3.99ポンド(約700円)払うと、広告なして視聴できるサービスも提供している。ITVは全国14地域を拠点とする15のテレビ局(ロンドン2局)と、全国ネット放送を行う1局の計16局で構成されているが、ITV Hubは、全国ネットのみ視聴可能で、地域の放送は見られない。筆者が2016年にITVの関係者に聞いた時点では、マネタイズを課題として認識しており、ライブ番組に比重を置き、オンデマンドサービスは付随的に考えている印象を受けた。
 一方、Channel 4(非営利広告放送)は、2006年にオンデマンドサービスAll4のサービスを始めた。2016年に担当者に話を聞いたところ、ITVと異なり、ライブより見逃し視聴に積極的に取り組んでいる。アクセス数は年間約7億で、BBCに次いで多い。企業の広告をもとに公共的な番組を委託制作することがChannel 4の使命で、アクセス数の多さをスポンサー企業にアピールしている。
 このような国内地上テレビ事業者による無料のオンデマンドサービスに加え、衛星放送のSkyはNOW TV、通信事業もBT TVやTalk Talk TVの名称で、それぞれOTTサービスを有料で提供している。また、世界展開をしているアメリカのNetflixは2012年にイギリスでサービスを開始し、2017年現在契約数は約600万件、またAmazonは2014年からPrime会員向けのOTTサービスを開始し、現在380万件余りの契約数で、ともに契約数を伸ばしている。また、SkyのNOW TVは78万1千件となっている。(Ofcomが2017年8月に発表したThe Communications Market Report(i)による)。

OTT事業者の影響
 アメリカでは、NetflixなどOTT事業者の躍進により2014年のテレビ視聴が12%も減少し、ケーブルテレビ等の有料契約を解約する「コード・カッティング」や最低限の契約に切り替える「コード・シェイビング」を招き、既存の放送メディアの経営に大きな影響を与えたとされる。しかし、イギリスでは2017年現在もBBC iPlayerが最もよく利用されており、米国のOTT事業者の進出によって、地上放送局の無料のOTTサービスのアクセス数が減ったり、Skyなどの有料サービスの契約数が減少したりするなどの直接の影響は出ていない。しかし、イギリスでも、OTT事業者が拍車をかけているオンデマンド視聴、タイムシフト視聴の増加、イッキ見など視聴習慣の変化に合わせて、レコメンド機能などサービスのパーソナル化、VODサービスの高度化が求められるなど、既存の放送局も間接的に対応を迫られている。


4.受信料制度改正

 テレビ受信の方法や視聴形態が多様化する中で、従来「テレビ受信機の設置」を基本としてきた受信料を、どのようにネット時代に適合させるのかが課題となっている。イギリスでは、受信料制度をネット時代に合わせて改正してきているが、放送負担金を導入したドイツのような抜本的な改革は行われていない。

受信料制度の変遷
 BBCは1922年にラジオ放送を開始した。当時のBBCは、イギリスで初のラジオ放送実験に成功したマルコーニら、無線機器製造事業者が複数集まり設立した。そもそも放送サービスを開始した動機は、ラジオ受信機の販売だったと言われるが、サービスの中身を制作し運営するための費用が必要である。このため、ラジオ受信機所有者に対し、BBCを受信する免許とBBCの製造するラジオを使用するロイヤリティ(特許料)と実験免許の3つの免許の取得を課し、その免許料の一部が放送サービスの運営に当てられた。その後イギリス政府により一本化され、1927年、BBCは民間企業から、特許状に基づき運営される公共法人British Broadcasting Corporationへと改組されたときに、財源は受信許可料と定められた。
 受信許可料はラジオから始まり、1946年に白黒のテレビ受信許可料が導入され、1968年にカラーのテレビ受信許可料が導入された。1971年にラジオの受信許可料が廃止され、現在は白黒とカラーの二つの受信許可料が設定されている。
 受信許可料は1988年からは、小売物価指数(RPI)に連動して毎年値上げされるようになった。しかし、2008年秋のリーマンショック以後の景気後退や、2010年5月の総選挙で勝利した保守党/自由民主党連立政府による公共部門の歳出削減計画の影響を受け、BBCの受信許可料の料額が、2011年~2016年度までカラーテレビが年額145.50ポンド、白黒が49ポンドで据え置かれた。
 新特許状更新議論の過程で、RPIに連動して再び受信許可料が値上げすることが政府とBBCの間で合意された。2017年4月1日、受信料額がカラーは年額147ポンド、白黒は49.5ポンドに値上げされた。

放送・通信融合に合わせた受信許可料制度
 現在の受信許可料は、「2003年放送通信法」(Communications Act 2003)に基づいている。この法律は、2002年に採択されたEU電子通信分野の新たな規制の枠組みを構成する指令を国内法制化したもので、放送と通信の融合法とも言われる。「2003年放送通信法 第4部 テレビジョン受信免許の付与 第363条 テレビジョン受信機の使用に必要な免許」の中で、テレビ受信機の使用は政府による許可制であることを示している。
 テレビ番組を提供するプラットフォームも、受信あるいは視聴できる機器も多様化している。これに対応するため、国務大臣が定める「放送通信規則2004」(the Communications (Television Licensing) Regulations 2004)で、テレビ受信機が従来の「放送」に限定されないことを明確にした。
 2004年時点では、通信で同時送信(あるいは事実上の同時送信)を受信する場合は、テレビ番組を受信することであると規定された。このことから、かつては、テレビを所有しないで、PCなどの端末でBBC iPlayerを使って、同時送信の番組は視聴せず、見逃し視聴だけを行う場合は受信許可料を支払う必要はなかった。しかし、受信許可料の抜け穴という批判があり、2016年9月に制度変更が行われ、同時・見逃し視聴に関わらず、BBC iPlayerを利用する場合は受信許可料の対象となった。
 また、かつてBBC iPlayerは英国内にいる人なら、居住者、旅行者に関わらず誰でも無料で利用できるサービスで、利用者登録などの動作も要求されなかった。しかし、2017年2月、PCなどで利用する場合に任意登録の呼びかけを開始し、2017年5月に今後は登録を義務化すると発表した(ii)。その理由としてBBCでは受信許可料の支払い確認の目的ではなく、サービスのパーソナル化を充実させるためとしている。登録には、メールアドレスと郵便番号を入れ、iPlayerを移動端末で利用するときに必要なパスワードを設定する。


5.今後の展望と課題

 BBCの特許状が2017年1月更新された。第9次特許状(2017年~2027年)では、BBCの公共的目的として5項目が示された(iii)。前の特許状(2006年~2016年)は6項目であったが、「デジタルテレビへの意向を達成するうえで先導的な役割を果たす」という項目は、2012年に地デジ化が完了したため削られた。
 今回の特許状で第一に掲げられた目的は「不偏不党のニュース・情報を提供し、国民が周りの世界を理解し、関わる手助けをする」である。BBCの使命は、初代会長時代から「報道(Inform)・教育(Educate)・娯楽(Entertain)」が原点となっており、今回の目標でも、不偏不党の報道を第一に挙げている。
 第二の目的「すべての年齢の国民の学習を助ける」、第三の目的「最も創造的、高品質で、卓越したアウトプット・サービスを見せる」となっており、これらもBBCの原点である「報道・教育・娯楽」に基づいている。BBCはネットでも、報道から娯楽まで様々なジャンルの番組を提供する。ただし第三の目的にあるように、BBCの番組は「創造的、高品質、卓越的」であることが求められる。BBCが、世界的にヒットしているオランダの音楽コンテスト番組『ヴォイス』のフォーマットを購入し2012年に放送を始めたところ、公共放送が扱うべき番組ではないと批判され、結局、商業放送ITVで放送されることとなった。逆にBBCが開発した社交ダンスのコンテスト番組『Strictly Come Dancing』は世界各国にフォーマットを輸出するほどの大ヒットとなり、オリジナリティがある高品質の番組だと評価する声が多い(iv)。このようにBBCの娯楽番組には、商業放送とは一線を画す独創性があることが求められ、今後も「卓越性(Distinctiveness)」が重要なキーワードとなるだろう。
 第四の目的は「すべての国民、地域コミュニティを反映し、クリエイティブ・エコノミーを支援する」となっている。後半部分のクリエイティブ・エコノミー支援は今回追加された。第五の目的「世界にイギリスの文化、価値を反映する」という文言にも、英国製映像コンテンツの国際展開を積極的に図るという意味が込められている。BBCが提供するサービスは民業圧迫しないというだけでなく、クリエイティブ産業の底上げの役割も公共的目的にうたわれている。BBCではITVなどと共同で、英国製コンテンツをアメリカに展開する有料のOTTサービスBritBoxを2017年春に始めた。

放送・通信融合時代の試行錯誤
 BBCは、メディア環境の変化にあわせて、試行錯誤を行っている。受信許可料制度は、現行特許状の期間中2027年まで維持されることになったものの、BBCは2017年6月にBBC iPlayerの認証制度を義務化するなど、今後もPCやモバイル端末のみでBBCコンテンツを視聴する人が増える事を見越した対策を導入している。
 また、2016年2月には若者向けチャンネルBBC Threeのテレビ放送を廃止しネットのみの提供にするなど、サービス面でも改革を試みている。BBC Threeのネット化は、当初は大きな批判を呼んだが、開始から1年半で、週間接触率は3.5%から8.1%に伸び、SNSのフォロワーも大幅に増えた(v)。BBCは2017年9月、BBC Threeのネット化は成功だったと評価した。一方で、2015年秋に始まった、BBCの番組をBBC iPlayerで購入できるサービスBBC Storeは、需要が伸びず2017年11月に廃止された。
 メディア環境が大きな変革期を迎える中で、公共メディアとして、BBCは何を守り、何を変えていこうとしているのか。
 ホール会長は、これから10年は「2頭の馬を乗りこなす」という表現で従来の「放送」と新しい「オンラインサービス」の両方に向き合うことを表明しているが、将来的にはネットサービスのBBC iPlayerが「すべてのBBCコンテンツの正面玄関」になると明言している(vi)。筆者が話を聞いたBBCデジタルの責任者も、すべての番組コンテンツが通信経由で視聴者に届く時代を想定していると話していた。
 ホール会長は2016年9月、今後10年の計画案を発表した(vii)。BBCの頭文字をとって「British(イギリスらしく)、Bold(大胆に)、Creative(クリエイティブに)」と名付けた約100ページの計画案の主な内容は、「BBC iPlayer」で BBC 以外のコンテンツも見られるようにし、イギリス製コンテンツの“総合窓口”となることや、子供向けiPlayerとして、テレビ番組やブログ、ゲーム、教育コンテンツなどを楽しめる「iPlay」 を新設すること、グーグルが世界の情報を整理するように、世界を理解するために「BBCアイデア・サービス」を立ち上げることなどを表明した。「BBCアイデア・サービス」は、オンラインのオープン・プラットフォームで、BBC だけでなく大英博物館やロイヤル・シェークスピア・カンパニーなど文化機関と協力し、イギリス文化のキュレーター的な役割を果たすことを目的としているという。
 計画案から、BBCがiPlayerをプラットフォームにしたインターネットサービスの拡充を柱に据えていることがわかる。2016年度の年次報告書によると、BBC のテレビチャンネルの週間接触率は78.8%となっている。2010年度の86.1%から7.3ポイント減少している。しかし、BBCのすべてのサービスに対する週間接触率は2016年度も95%と高水準を保っている。このことからBBCがネットでのサービスを拡充し、従来のテレビ放送への接触率の低下をカバーしていることがうかがえる。
 このようにBBCでは、iPlayerを主要なプラットフォームに、若者の接触率を高めるためソーシャルメディアなどへの展開も図り、将来的にネットサービスへシフトすることを見越して、制度面の改正、サービス面での充実に取り組んでいる。BBCの将来計画がすべて順調に進むかどうか見通せないが、BBCが目指す方向性は、放送通信融合時代における公共メディアのあり方のヒントを示している。



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田中孝宜

NHK放送文化研究所 メディア研究部 海外メディア研究グループ 副部長

上智大学外国語学部英語学科
英国リーズ大学 国際社会文化研究修士
名古屋大学大学院 国際開発学博士

1988年、日本放送協会入局。2017年より現職。
主な研究テーマは、災害報道、国際協力、公共放送の世界的潮流など。

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