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JAMCO オンライン国際シンポジウム

第26回 JAMCOオンライン国際シンポジウム

2017年12月~ 2018年6月

テレビのインターネットへの取組み―各国の事情と課題―

閉会の辞

迫水理男
一般財団法人放送番組国際交流センター専務理事

 今回のシンポジウムのテーマである「テレビ局のインターネットへの取り組み」はまさに同時進行のテーマであり、時々刻々変化している動きをどう切り取るかがポイントであった。
 テレビの歴史を語る場合、オリンピック中継、アポロ11号による初めての月面からの中継、9.11の悲劇や3.11の大震災など、今まさに起きていることを同時に伝えてきたのがテレビ放送の力と影響力であった。しかし今日、テレビ番組の視聴形態は大きく変化している。雇用や労働形態の多様化、少子化による世帯や家族構成の変化により毎日の生活の中でテレビの位置付けが変化している。それに加えて、インターネット、デジタルツールの普及に伴い、欲しい情報、欲しいものがいつでも手に入るという大きな変化がテレビ、新聞などの伝統的なメディアのあり方を直撃している。SNSの発達で誰もが情報の発信を行える時代になり、特に若い世代ではテレビ視聴だけに費やす時間の絶対量も低下している。更に人々がテレビ局の取材の方法や番組制作の舞台裏まで知れるようになり、テレビの持つ「非日常性」も失われつつある。送り手のテレビ局と受け手個人の関係という関係が変化し、人々がどう情報を入手し、その信頼度を確認していくか。むしろ個人の方に主導権が移行しつつあると言っても過言ではない。
 実はこうしたテレビとコミュニケーションのあり方の変化のみならず、AIやIoTなどの急速な進化と普及で今や人間の生活スタイルすべてに変化が訪れているのだ。日本でテレビ放送が開始して65年、アメリカの研究者が言う「少なくともインターネット上で「テレビ」「新聞」「デジタル」等の伝統的なメディア媒体の区分けはほとんど意味をなさなくなった。」との言葉の通り、デジタルツール、ネットの普及がテレビ局のあり方に構造変化をもたらすのはもはや必至の情勢だ。テレビとインターネットの関係のみを取り上げて語る事ではメディアと人々の関係の変化を捉える事はできない。映像や情報の持つ意味や価値をどう捉え、それに対して様々なツールをどう活用するか。今やこの課題は個々に問いかけられ、社会全体にも突きつけられた大きなテーマとなっている。

迫水理男

一般財団法人放送番組国際交流センター専務理事

東京外国語大学スペイン語学科卒業
NHK国際放送局編成部長、NHKインターナショナル理事を経て現職

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