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JAMCO オンライン国際シンポジウム

第17回 JAMCOオンライン国際シンポジウム

2008年2月1日~2月29日

非英語国のテレビ国際放送

閉会にあたって

荻野 崇一郎
(財)放送番組国際交流センター 交流推進部長

永らく、家庭で子供が言葉を習得する上での最初にして最良の教え手は母親であるとされてきました。しかし、今日、好むと好まぬに係わらず、テレビがその地位を奪いつつあります。今や、日本では一日24時間テレビを見ることが出来ます。ケーブル・テレビや衛星放送などの新しいテクノロジーのおかげでテレビ局の数は10年前に比べて10倍以上に増えています。そして、この新技術は、夥しい量の情報の流れをもたらしました。-たとえ、それが必ずしも質を伴っていないとしても-

テクノロジーは、国境を越えたテレビの国際放送をも可能にしました。国際世論の形成に影響力を及ぼしたい国々にとって、国際放送は、とても魅力的な、ある種の流行になっています。実際のところ、テレビの国際放送は、これまで英米の放送事業者の独壇場でありました。彼らは、今日の世界で英語が特権的な地位を独占している事実に乗じて、母国で放送するのと差ほど変わりない番組を世界中に向けて放送しています。

この現状を打破すべく、英語を国語としない国々が近年になって次々と独自のテレビ国際放送を立ち上げて、世界規模の情報の流れに多様性と複眼的視点を持ち込もうとしています。言うまでも無く、彼らが英語で放送するには、英米の競争相手より高いコストを覚悟しなければなりませんが、なかにはスペイン語やアラビア語も使用している例さえあるのです。

言語的コストはさて置き、プロデューサーやディレクターにとっては、姿の見えない国外の視聴者を相手に番組を作る難しさがあります。視聴者が何を求めているかを把握していないと、番組の企画は立てられません。番組で伝えたいメッセージの語り口はどうすべきかも考えなければなりません。前季に作った番組が視聴者にどう受け取られたかを知らなければ、来季の番組を改良する術も無いでしょう。 このところ毎年、JAMCOシンポジウムでは日本と中国と韓国の国際関係に焦点を合わせてきました。今回は、東アジア3国を其々の国際放送を通して比較してみることにしました。これら3国は伝統的に漢字を共有していますが、其々の対外的な関係作りの仕方が異なるのと同様に、其々の言語上の特長も著しく異なります。

百聞は一見に如かず。この機会に、NHKワールド(www.nhk.or.jp/nhkworld)、アリランTV(www.arirangtv.com)、CCTVインターナショナル(www.cctv.com/english)のホームページを実際に見て、ここで報告され、討議されていることが実際はどうなのかを考えてみてください。できたら、フランスのFrance 24(www.france24.com)やドイツのDeutsche Welle(www.dw-world.de)やイランのPress TV(www.presstv.ir)など、他の国々による国際放送のホームページも見てください。

当たり前のように思っている事実であっても、事実は必ずしも一つではなく、立場によって沢山の事実がある。これは、日本映画の巨匠、黒澤明の古典的傑作である「羅生門」から私が学んだ教訓です。今回のシンポジウムが聴衆の皆様の国際理解に少しでもお役に立てたら、嬉しく思います。もしかしたら、貴方の世界を見る眼は、すっかり変ってしまうかもしれません。

最後になりましたが、このシンポジウムへの参加を快諾され、示唆に富むご報告とご意見をいただいた報告者と討議者の方々、貴重なコメントや質問をお寄せくださった聴衆の方々、そしてご支援ご協力いただいた関係機関に厚く御礼申し上げます。

※リンク先は掲載時のものです。現在は存在しないか変更されている可能性があります。

荻野 崇一郎

(財)放送番組国際交流センター 交流推進部長

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