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フィリピンにおける教育の継続性

JAMCO オンライン国際シンポジウム

第29回 JAMCOオンライン国際シンポジウム

2021年1月~2021年3月

教育支援のための放送や新しいメディアの可能性~コロナ危機の中で~

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックにおける
フィリピンにおける教育の継続性

フェルディナンド・B. ピタガン(博士)
国立教員養成大学

要約

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、わたしたちの想像をはるかに超えて、教育の現場を混乱させている。世界中の政府が、今、このコロナ禍の中で、どのように学習、教育そしてさまざまな教育サービスを継続していくのか、手本となる解決策を早急に構築しようとしている。本稿では、フィリピンの基礎教育ならびに高等教育機関が、「新しい日常」の中で教育のあり方をどのように変容させてきたかを探り、課題を明らかにし、主要な学びを引き出していく。

イントロダクション

 フィリピンで最初の2019年新型コロナウイルス急性呼吸器疾患(COVID-19)の感染が確認されたのが2020年3月7日、その後、コミュニティーの隔離措置がとられた。11月8日現在、396,395人の感染者(そのうち361,638人が回復、7,539人が死亡)が確認されているが、これは、東南アジアでは2番目に高いCOVID-19感染者数であり、この数字はアジアでは7位、世界では25位である(保健省、2020年)。COVID-19の感染拡大を管理、緩和すべく、2020年1月下旬、フィリピン政府の新型コロナウイルス感染症のための省庁間横断タスクフォース(IATF-EID)が召集された。

 コロナ危機により、フィリピン経済は、今年、2.5兆フィリピンペソ(PHP)(米ドルに換算すると約51,918,750,000ドル(USD))の損失となり(Ramos、2020年)、失業率はこれまでで最も高い17.7%、730万人の雇用が失われることになる(Teo、2020年)。最新の「アジア経済見通し(the Asian Development Outlook)」(ADO、2020年)は、アジア開発銀行(ADB)が6月に予測した3.8%の収縮よりさらに深い落ち込みになると予測している。

 加えて、COVID-19は、ほとんどの政府が学校を閉鎖するなど、前例のない規模で教育現場を混乱させている。ユネスコ(UNESCO)(2020年)によると、2020年4月のピーク時には、165か国であわせて1,480,292,206人(在学者総数の84.5%)の学習者に影響があった。フィリピンでは、28,451,212人の学生がパンデミックの影響を受けている。

図1:COVID-19による学校閉鎖によりフィリピンで影響を受けた学生



フィリピン
現状
(Status)
COVID-19により閉鎖
影響を受けている学習者
(Affected learners)
28,451,212人
女子総数
(Total females)
14,164,753人
男子総数
(Total males)
14,286,459人
学校の種類
(School type)
女子
(Females)
男子
(Males)
総数
(Total)
就学前(幼稚園・保育園)
(PrePrimary)
869,385人 945,328人 1,814,713人
初等
(Primary)
6,724,335人 7,315,532人 14,039,867人
中等
(Secondary)
4,578,178人 4,428,970人 9,007,148人
高等
(Tertiary)
1,992,855人 1,596,629人 3,589,484人

2020年4月25日現在
1,451,874,449人の影響を受けている学習者
在学者総数の82.9%
165か国の全国的学校閉鎖

出典:https://en.unesco.org/covid19/educationresponse



 ロドリゴ・ドゥテルテ大統領は、フィリピンで公衆衛生上の緊急事態を正式に宣言し、2020年3月10日から3月14日までの期間、マニラ首都圏の公立・私立学校すべての授業を停止した。しかし、感染者数の増加により、3月17日までにフィリピン全土が非常事態下におかれ、コミュニティーの隔離措置強化が図られることになった。重要かつ緊急で適切な対応と対策を適時に講じてCOVID-19の脅威を抑制、除去すべく、すべての政府機関に対して支援、協力、リソース動員の指示が出された。以来、国内の一部地域で制限はいくらか緩和されたものの、依然として学校での対面授業は行われていない。対応は迅速だった。国中の教育機関や教育組織が、パンデミック禍での学習、教育、サービス継続のため、多様なテクノロジーとモダリティーを活用している。

基礎教育(The Basic Education)

 2020年3月10日までに基礎教育の全授業が停止されたが、これは偶然にも2019-2020学年度の最終月であった。隔離期間が延長されると、学生が今年度の履修レベルに合格できるよう、宿泊施設が準備された。結果として、教育省(DEPED)は、2020-2021学年度の授業開始を2020年6月1日から8月24日に繰り下げたが、最終的には2020年10月5日からの開始とした。

 私立の基礎教育機関は、「コロナ禍における教育省(DEPED)基礎教育学習継続プラン(DEPED Basic Education Learning Continuity Plan:BE-LCP))」が発令されたことを受けて、2020年6月までに遠隔教育を開始する承認を与えられた(DEPED Order No. 12 s. 2020)。その目的は以下のとおりである:

  • 学習者、教員、職員の健康、安全そして福利を守り、COVID-19の感染拡大を防ぐ。

  • K-12カリキュラムの調整、学習教材の調整、複数の学習提供モダリティーの展開、教員と学校指導者向け研修、学習者の両親や保護者への適切なオリエンテーションを通じて、学習の継続性を確保する。

  • 保健省(DOH)と省庁間タスクフォース(IATF)による予測シナリオを考慮に入れ、その他の信頼できる情報源により補完し、教育省(DEPED)が実施したリスク評価ともバランスをとりながら、教員、教育指導以外の業務に従事する職員、学習者の、それぞれの職場や学校への安全な復帰を促す。

  • 公正への配慮と、できる限りの対策をとるよう努める。

  • 「Sulong Edukaidad」と教育における未来思考の枠組みの中で、「コロナ禍における教育省(DEPED)基礎教育学習継続プラン(BE-LCP)」と教育省(DEPED)の重要事項をつなぐことで、質の高い教育を実現し、教育の未来へとつなげる。


図2:COVID-19禍における教育省(DEPED)による多様な配信方法を使った学習リソースの提供



Learning delivery modality:学習提供モダリティー
Distance Learning (Online Digital Modules):遠隔教育(オンラインデジタルモジュール)
Distance Learning (Offline Digital Modules):遠隔教育(オフラインデジタルモジュール)
Distance Learning (TV + Radio + Printed Modules):(TV+ラジオ+印刷教材モジュール)
Distance Learning (Printed Modules):遠隔教育(印刷教材モジュール)
Blended Learning (TV + Radio + Digital & Printed Modules):
(TV + ラジオ+デジタル&印刷教材モジュール)
Home schooling:ホームスクーリング

出典: https://www.DEPED.gov.ph/2020/07/22/ano-ang-pwedeng-learning-delivery-modality/


 教育省(DEPED)は、学習のためのテクノロジーの活用とネットへの接続ができるように配慮した多様な配信方法を準備した.オンライン/オフライン技術、テレビやラジオ、印刷教材モジュールを用いて、教員と生徒が物理的に離れていたとしても教育を互いに継続できるよう設計された遠隔教育方式を採用している。また、ホームスクーリングは、保護者が教師としての役割を担い自宅で行うことを前提にしているのに対し、対面とオンラインを組み合わせたブレンド型学習は、さまざまな学習モダリティーを用意できる。

 パンデミックの前から、K-12基礎教育カリキュラムの見直しは行われてきたが,その作業は急ピッチで進み、当初あった14,171項目から約60%の削減にあたる5,689項目の最も重要で不可欠な学習内容を選び出した。この作業は、過密や重複に対処するために、既存の学習内容を保持し、結合し、集め、取り去り、別の表現で言い換えることによって行われた(DEPED MELCS、2020年)。

 教育省(DEPED)はまた、フィリピンの学習者に対する基礎教育の継続的提供を支援するためのオンラインプラットフォーム、「DEPEDコモンズ(the DEPED Commons)」のプロトタイプを迅速に構築した。これは、オープン教育リソース(OER)についての認識と活用を推し進め、教育教材のオープンライセンシングの奨励を目的としたものだ。2020年3月17日の立ち上げ以来、このプラットフォームは、私立学校、オルタナティブな学習システム、ユーザーとしての特別教育利害関係者らを統合してきた。また、地域のモバイル企業とも連携し、加入者が無料でポータルにアクセスできるようになっている。最初の9週間だけで、すでに7,215,925人のユーザーが登録、DEPEDコモンズにアクセスしている。ポータルの活用に関しては、これまでのところ、さまざまな関係者から良好なフィードバックがあった(DEPED Commons、2020年)。

 学習資源管理開発システム(LRDMS)は、パンデミック発生前からDEPEDのオンラインリソースレポジトリであり、今後もそのようなサービスを提供していく。このシステムには、学習者のための6,199の学習リソース、教員のための1,587のリソース、そして専門能力、職能開発(professional development)のための56のリソースが含まれている。さらに、科学技術省(DOST)STARBOOKSと高等教育委員会(CHED)ティーチトゥギャザープロジェクト(DEPED Teach Together Project)も多くのリソースを提供している(DEPED Commons、2020年)。

 K-12プログラム全体で実施されている、すべての学習者を対象とした多様な学習モダリティーのためのさまざまに異なる授業は、包括的かつ双方向的なイーブック(e-books)に変換され、自己学習モジュール(SLM)としてDEPEDコモンズにアップロードされる。これらのモジュールは、印刷教材、ビデオレッスンやデジタル形式で提供され、従来の対面学習モダリティーに加えて、またはそれに代わるものとして、ブレンド型学習、遠隔教育、ホームスクーリング、実習などに使用される(DEPED Commons、2020年)。

 教育省(DEPED)は、2020学年度末までに475,650台のタブレット型パソコンを供給する予定であり、2,140万人の生徒が、これは22,746,855人の公立学校の生徒の約94%に相当するが、634,877台のデスクトップ/シン・クライアントを利用できるようになる。また、190,574台のラップトップを教師が利用できるようになる(DEPED全教員の22%)。さらに、地方自治体と民間団体が、全国の学生や教員にテクノロジー・オーグメンテーション(技術拡張)を提供している(DEPED Commons、2020年)。

高等教育(The Higher Education)

 2020年3月10日からは、高等教育機関(HEI)の授業も停止されたが、基礎教育機関とは異なり、高等教育機関は、遠隔によるフレキシブル・ラーニング・システムを活用した授業運営が認められた。2020年2月11日付の高等教育委員会(CHED)第1号勧告は、COVID-19の感染拡大を防止、制御、緩和のための対応について、概説している。2020年3月11日までにはその第2号が更新され、すべての学生、教職員、管理者の安全と健康の確保に重点を置いた追加情報が掲載された:

  • 全高等教育機関に保健省(DOH)と世界保健機関(WHO)の最新の発表にもとづいたガイドラインを遵守するよう命じる。

  • 複数のコミュニケーションチャンネル上で見ることのできる情報キャンペーンを奨励する。

  • 日常的な予防策を推奨する。

  • スクリーニング・プロトコルやレスポンスを確立する。

  • 大勢の群衆が集まるイベントへの参加、出席、主催の見直し、旅行制限を推奨する。

  • 学生や教職員向けの学内リソースを拡大する。


 高等教育委員会(CHED)のCOVID-19関連の勧告は、2020年5月24日の第7号が最終号となり、以下の提言、勧告が含まれている:

  • 省庁間タスクフォース(IATF)から、さらなる追加指令が出されるまで、対面授業を停止する。

  • 夏期授業開講のための規定

  • 実地研修やインターンシップ・プログラム(海外および現地)、大勢の集まりの中止。

  • 夏期授業開講のための規定

  • 2020-2021学年度の開校時期は、高等教育機関(HEI)の教育提供形態による。

  • フレキシブルな学習戦略や学習提供形態、プロセスおよびサービスを導入する。

  • 健康とウェルネスの基準を遵守。

  • 最小限の要員との交代勤務の採用、調整。

  • クライアントに必要不可欠なサービスを提供する。

  • 明確なコミュニケーションプランを確立し、非対面方式により実施する。

  • 教育政策を見直す。

  • 安全性を懸念して、子どもたちを学校へやらないと決めた家族の決断を尊重する。

  • その他関連する詳細事項。


 高等教育委員会(CHED)の指導のもと、フィリピンの大学やカレッジのほとんどは、パンデミックの渦中、そしてパンデミック後の教育環境の変化を考慮した教育継続のためのフレキシブル・ラーニング・システムを導入した。フレキシブル・ラーニングは、包括的で弾力性のある教育の理念に根差して、学習と教育に影響を与える多様なモダリティーの分析、設計、実施、進化を重視するものである。高等教育委員会(CHED)(2020年)によると、フレキシブル・ラーニングには3つの形態(モード)がある:

  1. オンライン∸授業を提供するために、利用可能なオンライン教室を使用する。

  2. オフライン-学習が印刷教材モジュールまたはストレージデバイス(記憶装置)にあるデジタルメディアを通して行われるため、インターネット接続は必要ない。

  3. ブレンディッド(ブレンド型)-オンラインモードとオフラインモードの混合(Magsambol、2020a)。


 接続性は、フレキシブル・ラーニングにおける主要な問題のひとつである。テクノロジーや帯域幅(bandwidth)への十分なアクセスがある学生がいる一方で、アクセスに制限のある、または全くアクセスのない学生もいるからだ。高等教育委員会(CHED)は、とりわけ地方でのインターネット接続環境の貧弱さが、完全なオンライン授業の実施を「実行不可能な」ものにしていることを認めている(Philippine Daily Inquirer、2020年)。

 CHEDカリキュラムは、多くの高等教育機関(HEI))が、コア・コンピテンシー、本質的な学習体験、統合アセスメントに焦点をあて、ニューノーマルへの適応を図るために、カリキュラムの見直しを実施したことから、学習者中心で、かつ成果にもとづいたものになっている。フレキシブル・ラーニングは、学習者中心の、成果にもとづいた教育に深く根差している(CHED CMO 4、2020年)。

 高等教育委員会(CHED)は、学習・教育を支援するためのテクノロジーの利用を高等教育機関(HEI)に奨励している。その中には、プログラムを提供する際に、学生のインターネット接続性にもとづいてテクノロジーのレベルを決定することも含まれている(CHED CMO 4, 2020年)。

表1:学生の接続性にもとづいたプログラムの提供


カテゴリー デバイスの利用 インターネット接続 デジタルリテラシーレベル アプローチ
高度なテクノロジー ラップトップ、携帯電話、デスクトップ 高速 専門レベル オンラインまたはブレンド型学習
中レベルのテクノロジー 主に利用可能な電話機 低速 上級レベル オンラインまたはブレンド型学習(マクロおよびマイクロラーニング)
低いレベルのテクノロジー 一部は携帯電話またはテクノロジーがない 貧弱またはインターネットに接続していない 初心者レベル オフライン(自己学習モジュール)

出典:SEAMEO Innotech、CHED-SEAMEO合同オンラインセミナー(ウェビナー)でのJuan Robertine Macalde博士によるプレゼンテーション、2020年5月22日。


 加えて、管理者、教職員の能力開発、強化の支援を行い、利害関係者すべての健康と安全性のプロトコルを確保するなど、継続的なコミュニケーションとサービスを提供することは、フレキシブル・ラーニング・システムだからこその特徴である(CHED CMO 4、2020年)。

 さらに、イノベーション・フォー・ソーシャルインパクト・パートナーシップ(ISIP)は、フィリピンの各大学がイノベーションを通して、COVID-19の危機にどのように対応し、公共の利益のために研究の力を活用しているかを記録している(Bordado、2020年):

  • バタンガス州立大学―真空成形プロセスを用いてフェースシールドを製造。組立時間を短縮し、1日あたり100個以上を製造している。

  • セントラルルソン州立大学―フィルターにナノファイバーを用いた洗えるマスクを開発。

  • カラガ州立大学―フェースマスク用ナノセルロース、COVID-19マッピング、オンラインカウンセリングセッションを提供。

  • セントラルフィリピン大学―隔離されたCOVID-19患者に薬や食料を届ける遠隔操作カートを開発。

  • イースター・ビサヤス州立大学―エタノール、過酸化水素、グリセロール、蒸留水を混合した消毒剤、フェースマスク、シールドを製造。

  • セントルイス大学―殺菌室(disinfectant chamber)、エアロゾル・ボックス、フェルト紙とコーヒーフィルターでできたフェースマスクを製造。

  • フィリピン大学ディリマン校―低コストの検査キット(low testing kits)、N95マスク洗浄室、プラズマ処理装置、PUI用GISトラッカーを製造。

  • サンカルロス大学―衛生テント、消毒液、ライスディスペンサー(rice dispensers)、BIRDSEYEモバイルアプリを製造。

  • 南フィリピン科学技術大学―可動式隔離室(mobile isolated chambers)、温度スキャナー、ミストブース(misting booths)、エアロゾル・ボックスを設計。


さまざまな課題

 これらの解決策や規定は、フィリピンにおける教育の継続に好影響を与えているが、早急な対応が必要な課題は依然として残っている:

  • 基礎教育の入・在学者率はここ数年徐々に上がってきているが、Magsambol(2020b)によると、2020-21学年度の生徒数は24,723,533人であり、前年度に比べると300万人少ない数字である。さらに、私立および州立の大学やカレッジ(SUC)の入・在学者数をみると、新学年度は70%もの落ち込みになることが予想されている(One News、2020年)。 これは、COVID-19に起因する生徒やその家族が直面する経済的苦境によるものである。

  • 私立学校は、パンデミック前の入学者数の16%を占めていたことからも、フィリピンの若者の心を教育するうえで非常に重要な役割を果たしているわけだが、現在、14,435の私立基礎教育機関のうち748の機関が運営を中止しており、3,233人の教員と40,345人の学習者が影響を受けている(CNN Philippines、2020年)。さらに、カレッジの学生の54%以上が私立学校に通っている。このように、収益の減少は、授業の再開が2020年8月下旬になる場合、552億フィリピンペソ(約1,146,366,000ドル(USD))にのぼる見通しである(Manila Bulletin、2020年)。そのうえ、学校の閉鎖や転校は、そのすべての教育関係者に社会的、感情的影響を与えることになる。

  • 異なるモダリティーで遠隔教育の分析、設計、実施、評価ができるよう、教員と学校指導者を訓練する必要がある。教育省(DEPED)によると、この時点で訓練を受けている教員は95,156人で、全教員数847,467人の約11%に過ぎない(DEPED Commons、2020年)。高等教育委員会(CHED)は、教育機関、教員、学生がフレキシブル・ラーニングに移行できるよう支援する開発プロジェクトを実行に移さなければならない(CHED CMO 4、2020年)。

  • LMRDS, コモンズ(Commons)、SLM DEPED、CHED OERリポジトリ、そして各高等教育機関のリソースセンターは、適応力があり包括的なリソースセンターであり、情報収集のための規定もある。しかし、その質と水準を確保するためには、全国的な学習プラットフォームと集中的なモジュール構築が必要だ。

  • 特に、遠隔地の学生と教員に対して技術提供を行うという国家的計画がなければならない。


主要な学び

 教育省(DEPED)とCHEDが示したリーダーシップは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)以前、その最中、そしてCOVID-19後も、フィリピンの教育が直面している、直面するだろうさまざまな不平等(odds)、格差の問題を考えると、称賛に値する。
複数の利害関係者との連携によるメモや勧告は、継続的な課題や困難があるにもかかわらず、すべての人のための教育を継続する義務を念頭に置いて尽力する政府の存在を常に思い起こさせてくれる。また、特筆すべきは、とりわけこの困難な時代に、学問がどのように政策立案を形成する情報を提供し、地域社会に影響を与え、前向きな変化をもたらすことができるのか、革新的なアプローチをとっている教育機関の存在である。加えて、テクノロジーの活用は、フィリピンの教育現場のまさに最前線にあって、今、パンデミックによって光があたり注目を集めている。オンライン、オフライン、ブレンディッド、テレビやラジオ、印刷教材モジュール、その他の柔軟なモダリティー、そのいずれであろうと、テクノロジーをいかに活用していくかは、パンデミック後の新たな学習と教育のありようにおいても、不可欠で重要な要素であることに変わりはない。最後になるが、教育は、フィリピン家庭の最優先事項であり、COVID-19は、フィリピン人の強靭さ、しなやかな回復力を証明するもうひとつの教育上の危機にすぎないことを付け加えておきたい。

フェルディナンド・B. ピタガン(博士)

国立教員養成大学

Eメール: fb.pitagan@ntc.edu.ph
HP:https://iskomunidad.upd.edu.ph/index.php/Ferdinand_Pitagan

フェルディナンド・ブランカフロア・ピタガン(Dr.)(Dr.Ferdinand Blancaflor Pitagan)は、1928年に創立され、現在はユーチェンコ-アヤラコングロマリットの一部として、フィリピン最大級の大学院プログラムを有し、パンデミック渦中での教育を継続させるための弾力的な遠隔教育システムを展開する、国立教員養成大学(the National Teachers College)教育学部長である。講演活動、セミナー・研修の実施、リサーチジャーナル掲載論文の執筆に加え、教育、テクノロジー、社会に関連したリソースのプロデュースにも従事している。

ユネスコ(UNESCO)のコンサルタント/スペシャリストとして、「学びのユニバーサルデザイン(UDL)」の理念を統合し、オープン教育リソース(OER)をより包括的なものにする専門家チームを率いる。オープン教育リソース(OER)は、フィリピンで試験的に導入、実施され、その後マレーシアに引き継がれている。オープン教育リソース(OER)は現在、ニューノーマル(新常態)における教育・学習のための強靭で柔軟なイノベーションの最前線にある。

フィリピン教育省および高等教育委員会の教育工学コンサルタント、デ・ラ・サール大学学科長、同大学Eラーニングディレクター、フィリピン大学教授、フィリピン・サイエンス・ハイスクール特別科学教員なども務める。ICT教育の分野では広島工業大学および関西大学とも協働。

国際基督教大学(ICU)教育学博士号(文部科学省奨学金)、フィリピン大学教育学修士号(教育工学)(フィリピン科学技術省(DOST)奨学金)取得。東京学芸大学リサーチフェロー。 Educational Technology Research and Development (ETR&D)(教育工学に関する研究開発ジャーナル)、SAGEオープンジャーナル(SAGE Open Journal)、International Journal for Educational Media and Technology(IJEMT)(教育メディア工学に関する国際的ジャーナル)、International Journal of Educational Technology in Higher Education (ETHE)(高等教育における教育工学の国際的ジャーナル)査読委員会メンバー、第1回メディア・情報リテラシー集中教員養成プログラム招集者、全国デジタル教育者協会(NDES:the National Digital Educators Society)共同創立者、ActivatED創立者でもある。

サポート・ユア・ドリーム・ジャパン(Support Your Dream Japan)最優秀フィリピン人教師、国際ロータリークラブ模範生、ジェリーロクサス財団リーダーシップ賞などの注目すべき賞を受賞。柔軟性があり、包括的、協調的で、他者のためになるような教育のテクノロジーインテグレーション実践コミュニティを構想している。

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